H.K.:当社は三菱UFJモルガン・スタンレー証券のオンライントレードシステムを開発し、その維持保守を請け負っています。国内株式や新規公開株式の申し込み、投資信託、投信積立、外国商品の取引が行えるほか、リアルタイムで自動更新される株価ボードや投資情報を確認できるサービスを提供しています。2024年1月から新NISAの運用が始まることを受け、新NISA対応への改修プロジェクトが2023年3月にスタートしました。
H.S.:今回の改修では、「株式や国内投信を新NISAで行えるようにする」、「新NISAを機に新たなサービスを提供し、顧客基盤の拡大を促進する」という、二つの大きな柱がありました。新NISAは、つみたて投資枠と成長投資枠の二つの非課税枠が設けられ、年間投資枠の増額や非課税保有期間の無期限化、投資対象商品の拡充など、利用者にとってメリットが大きい制度改革です。三菱UFJモルガン・スタンレー証券としては、インターネットトレードシステムを活用して新規顧客を獲得したいという思いがありました。
H.K.:新NISAの開始日は2024年1月1日と決まっていたので、2023年12月中旬にシステムを公開するスケジュールは必達で、3月の時点ですでに開発期間は10カ月を切っていました。まずは新NISAに必要な機能や、顧客獲得のために業務部門が望むことをヒアリングし、二大課題をシステムで実現するにはどうしたらよいかを検討。概要設計工程2か月、基本設計工程は2カ月を要しました。
K.S.:私は2023年6月からプロジェクトに参画しましたが、対応すべき範囲があまりにも広いことに驚きました。現行のシステムを猛スピードで理解するとともに、新たな要件をどのように組み込んでいくか、後輩メンバーと手分けをして調査し、最適解の検討に明け暮れました。
H.K.:6月以降は詳細設計と、設計に基づきひたすらプログラミング作業を行い、9月には連結テストに進みました。証券取引にはさまざまな機能やシステム連携が不可欠です。設計上はうまくいくはずでも、実装して問題が起きては困ります。1,500項目以上ある膨大なチェックリストに沿って、機能間の動きに問題が生じないか確認しました。10月には本番環境と同様のシステム構成で総合テストを行い、ユーザーの使用感なども含めて全体の動きを確認。ここで出てきた不具合を修正し、テストを繰り返して、品質評価をマネージメントに報告します。そして、GOサインが出たら本番環境に移行し、12月にリリースする、という流れでした。